イギリスはロンドンにある大英博物館は一日で見切れないほどの展示数、所蔵数は展示数の50倍以上というとんでもない博物館です。
その膨大な展示品の中で最も有名で、必見と言えばロゼッタ・ストーンでしょう。
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ロゼッタストーンには何が書いてあるの?
ロゼッタ・ストーンの表面には紀元前196年にプトレマイオス朝エジプトの王、プトレマイオス5世が出した勅令が3種類の文字(ヒエログリフ、デモティック、ギリシア文字)で書かれています。
エジプトの歴史といえば、ピラミッドやツタンカーメンが有名ですが、ロゼッタ・ストーンが作られたころのエジプトは有名な三大ピラミッドが作られていた紀元前2500年頃からは2300年後、ツタンカーメンの治世の紀元前1330年頃からは1130年ほど後の世界であり、年代的に大きな隔たりがあります。
ギリシア系のよそ者がエジプト人を支配するという構造上、支配階層は市民からの反感を買いやすい。そこでプトレマイオス5世がエジプトのためにおこなった功績をたたえる勅令を発布し、エジプトを支配する正統性を広く知らしめる必要がありました。
ロゼッタ・ストーンってなにがすごいの?
紀元前数千年ころから古代エジプトで使われていたヒエログリフは紀元後4世紀ころには識字できる者がいなくなり、古代エジプトの遺物を解読する術は失われました。
しかし、18世紀末にナポレオン率いるフランス軍がエジプト遠征をおこなった際に、エジプトのロゼッタでロゼッタ・ストーンが偶然発見され、古代エジプト文字の解読研究は一気に進むことになります。
ロゼッタ・ストーンには同じ内容が以下の3種類の文字で書かれています。
上段 | ヒエログリフ(神聖文字) エジプトの神官階級が使う伝統的な文字 | |
中段 | デモティック(民用文字) エジプト人が日常的に利用していた文字 | |
下段 | ギリシア文字 エジプト政府の言語 |
ギリシア文字を足掛かりにフランス人のエジプト学者シャンポリオンがヒエログリフの解読に成功しました。
なんで大英博物館にあるの?
ロゼッタ・ストーンが発見されたころのフランスは1789年に始まったフランス革命でどたばたしているころ。
フランス革命は簡単に言うと「王様や貴族などの特権階級による支配を民衆が打倒し、民衆による統治を実現しようとする市民革命」。当時の国王、ルイ16世をはじめ、マリー・アントワネットなど王族、貴族や政治家、革命の反対派など多数の人物がギロチン台送りになりました。
過激なフランス革命が自国まで広がることを恐れた周辺諸国とフランス革命政府は敵対関係にありました。
そんな情勢の中、フランスと敵対するイギリスにひと泡吹かせるために、ナポレオンがフランス軍を率いてエジプトに侵攻します。
当時はまだ地中海と紅海を結ぶスエズ運河は開通していなかったものの、エジプトはアジアとヨーロッパを結ぶ要衝でした。
その、ナポレオンによるエジプト遠征の過程でロゼッタ・ストーンは発見されました。
しかし、ナポレオンがエジプト遠征をしているころ、ヨーロッパではイギリス・ロシア・オーストリアなどが「フランスを攻めよう同盟(第2回対仏大同盟)」を結成し、各国の軍隊がフランスに攻め込んでいました。この影響で、フランス国内は大混乱に陥ってしまいました。
ナポレオンはフランスに単身で帰国し、この機に乗じてクーデターを起こしました。そして、独裁権を握ることとなります。
エジプトに置いていかれたフランス軍はイギリス軍に敗北、ロゼッタ・ストーンもイギリスの手に渡ったってわけ。
参考文献
以上の点を念頭において、「ヨーロッパ旅行が少しでも楽しくなればいいや」と軽い気持ちで読んでいただけると幸いです。