青春18きっぷで廃線が噂されるJR北海道の線路に乗る旅!
お目当ては根室本線の閑散区間(滝川ー新得)と留萌本線に乗ること。
この記事は
- 廃線の可能性大な路線に興味がある人
- 北海道の18きっぷでの鉄道旅行に興味がある人
- 旅行気分を味わいたい人
にお役に立ちたい記事です。
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STEP17:00札幌駅発、8:36滝川駅着函館本線滝川行き普通列車
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STEP29:42滝川駅発、10:48富良野駅着根室本線富良野行き普通列車
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STEP314:19富良野駅発、15:04東鹿越駅着根室本線東鹿越行き普通列車
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STEP415:13東鹿越駅発、16:21新得駅着根室本線新得行き代行バス
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STEP518:37新得駅発、19:46東鹿越駅着根室本線東鹿越行き代行バス
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STEP619:57東鹿越駅発、20:34富良野駅着根室本線富良野行き快速列車
ではでは、札幌駅から旅を始めるとしましょうか。
Contents
札幌駅→滝川駅(96分)
最初に乗るのは滝川行きの電車。
札幌から岩見沢までは通勤・通学圏内なので、高校生や学生、サラリーマンと思しき人たちが車内にたくさん。
岩見沢駅までにそういった人たちのほとんどが下車していきました。
岩見沢駅では特急の待ち合わせ。13分停車します。
これは札幌と旭川を結ぶ特急街道を走る普通列車の宿命。
先を急ぐ旅なら18きっぷで北海道は旅行できません。
岩見沢駅は今も函館本線と室蘭本線が交わる重要な駅ですが、昔は石炭の運搬でもっと栄えていたであろうだだっ広い構内を眺めて感傷に浸ります。
奥に見えるのが苫小牧方面へ行く室蘭本線の車両です。
岩見沢を出発した電車は、乗客が減って、広くなった車内でのんびりしている私を景気よく運んでいきます。
季節は夏の終わり。
もうすぐ稲刈りを迎える田んぼは黄色く輝きます。この辺りは北海道内有数の稲作地帯なのだそう。
滝川駅(66分)
終着の滝川駅に到着。
滝川駅からは北海道の東の端、根室までつながる根室本線に乗り換えます。
10年ほど前に一日散歩きっぷで富良野へ行こうとしたときも滝川駅で1時間待ちぼうけをくらうので、どうにか回避できないものかと、すぐ近くまで当時は伸びていた札沼線、新十津川駅から徒歩で滝川駅まで歩く方が時間を有効に使えるかもと調べたことがありました。
今や廃線になってしまった学園都市線の末端部なので、当時も本数が少なくて新十津川駅から徒歩作戦はあえなく断念するに至りましたが。
panettone(パン屋さん)
(私以外にこのパン屋さんをこんな使い方している人はきっといないでしょうが)
滝川駅を背に左へ歩いて、線路をくぐり、まっすぐ歩くと見える歩道橋のたもとにあります。
根室本線への乗継時間で十二分に往復できる距離。
きゅっとコンパクトにまとまったお店ですが、とにかく素敵なお店。
美味しそうなパンが所狭しと並びます。
天然酵母のこだわりパン。
ふんわりパンは少なくて、店名のとおりパネトーネのような周りが固めで、中はもっちりんとした食感。
近くでとれた野菜も安くて、買いたいところなのですが、毎回旅行の最初の立ち寄りスポットなので、荷物を増やしたくなくて、諦めています。
滝川周辺は農耕が盛んなので、安くて美味しいに決まってる!
朝食パンを買ったので、またのんびり駅へ引き返します。
富良野行が運休…!?
駅の目の前に来たときに入った駅の構内放送。
「9:42発富良野行は運休いたします」
…はい?
今回の旅行の目的は過疎路線、留萌本線と根室本線の富良野ー新得に乗車すること。根室本線の滝川ー富良野は最重要目的ではなかったにしろ、しっかり赤字のローカル路線だっただけにガッカリです。
なんでも、富良野駅の手前、野花南駅の交換器に不具合が起こったのだとか。
とやかく言っても仕方ないので、待合室で朝ごはんのパンをむしゃむしゃ。美味しい。幸せ。
滝川駅→富良野駅(代行バス)
突然、線路の不具合で運休が発生した滝川発富良野行の普通列車。
代行バスが手配され、20分ほど定刻から遅れて滝川駅から出発することに。
バスは太陽がキラキラ輝く中を走っていきます。
わたるはずだった橋梁を眺めます。恨めしい…。
もともと少ない乗客の乗り降りはほとんどなし。
滝川と富良野の間に位置する芦別市と赤平市はどちらも炭鉱町だったので、今や見る影もないくらいさびれてしまっているようです。
バスで市街地を通るからこそ実感して、寂しくなります。
バスはすべての駅に寄りながら、富良野を目指します。
富良野駅(本来なら3時間31分)
出発が遅れ、所要時間も鉄道よりもかかってしまうので、到着は1時間近く遅れてしまいました。
と言っても、乗り継ぐ予定の普通列車(東鹿越行き)は定刻だと3時間以上待ち時間があります。
1時間くらい到着が遅れても、の~んびりお昼ご飯を食べても余りあるので、乗継に何ら問題はないのですが、そもそも!ちゃんと走ってくれるのよね!?
「滝川ー富良野間は代行バスでもいいけど、富良野ー東鹿越は鉄道に乗りたいのよ!そのための旅行なのよ!」
富良野駅で駅員さんに「いつ頃直りますかねえ。ちゃんと動きますかねぇ」と聞いてしまいました。
「バッテリーを新しいものに交換するので、直るとは思いますが、その作業が13時くらいで終わる予定です」との回答でした。
JR北海道の頑張っている保線員さんを信じ、お昼ご飯を食べに出かけることにします。
本日宿泊予定の駅前のゲストハウスに荷物を預けて、富良野の町へ繰り出しました。
が、お目当てのお店が臨時休業。じゃぁ、代わりに。といったお店もお休み。
その場で調べて入ったお店は人手が足りていないようでとっても待たされ、なんとなくお味も気に入らずで踏んだり蹴ったり。どうしてこうなるの。
ふらのパティスリーtronc
気を取り直して、デザートを買いにパティスリーにやってきました。評判のいいお店だったので、目をつけていたのです。( *´艸`)フフフ
優柔不断な私はたくさん並ぶケーキたちに右往左往w
店主さんに決まったら呼びます。といって、裏の作業に戻ってもらうくらいは悩みましたw
ケーキも食べたくなったので、少しくらい持ち運んでも暑さに強そうなバスクチーズケーキに。
シェイクは駅の待合室で待ちながら飲もうと思ったら、美味しすぎて、駅に着くまでになくなってしまいました。
富良野駅→東鹿越駅→新得駅(2時間2分)
駅に着いて確認するとちゃんと根室本線が復旧していました~。良かった~。感涙。
3方向へ線路が伸びている富良野駅。
新得方面、東鹿越行きの少なさよ…。
その昔、石勝線が開通するまでは札幌から帯広、釧路を結ぶ幹線だった根室本線。
しかし、2016年の台風被害を受けた東鹿越ー新得は復旧されることもなく、ずっと代行バスが運行され、富良野ー新得は日に4往復のみという少なさ。
富良野ー新得はすぐにでも廃線になりそうな線区。どうしても乗っておきたかった!
復旧して良かった!
一両編成の気動車がやってきました。
車内は青いモケットの直立背面。国鉄時代を感じます。(国鉄時代知らんけどw)
開けた窓から気持ちよく風が吹き抜けます。
うなるエンジン音がダイレクトに響きます。がったんがったんジョイント音もやかましい。
旅してるって実感する非日常の音。
吹き抜ける風に髪の毛をくしゃくしゃにされながら、のんびり車窓を眺めます。
富良野盆地らしい耕作地と後ろにそびえる山々の風景から徐々に山深くなっていきます。
そして、何度目かのやかましいトンネル(窓を開けているとトンネルはすっごくうるさい)を抜けると突然広がる湖。かなやま湖。かなやま湖をわたるともう間もなく東鹿越駅に到着。
東鹿越駅(9分)
ここから先、新得までつながっている線路はしかし、この気動車で行くことはできません。
名残惜しいですが、接続する代行バスに乗り換えます。
代行バスからはわらわらと人が降りてきます。私が乗ってきた気動車の折り返し運転で富良野へ行く人たち。
ここで、富良野駅でちゃんとトイレに行ってきたのに、トイレに行きたくなる私。
気動車内ならトイレもあっただろうに、代行バスにはついてないし、最終目的地の新得駅まではここからまだ1時間。
しかも、途中下車なんてしようもんなら、後続の代行バスなんていつくるか分からない過疎路線。
諦めて、無人駅、東鹿越駅のトイレを使う羽目に…。今どき珍しい汲み取り式でしたよ。
水の流れないやつ!何年振りに使ったか分からない。
しかも、手洗い場すらなくて、このコロナなご時世辛かった…。
そんなブルーな私の気も知らずに代行バスは出発。
代行バスと気動車は乗客を交換するので、乗継は抜群です。
途中駅(幾寅駅・落合駅)
この先の区間は駅に寄りながら新得を目指します。
ポッポやという映画でロケ地になった幾寅駅。
映画のときの駅名「幌舞駅」ばかりが目立って、本物の駅名標がどこにあるか分かりますか?
こちらは落合駅。
少ないとはいえ、落合駅までの区間では高校生たちの利用があるようです。落合駅のわきに1台、高校生が自転車をとめていました。
後日、再度訪れたときに同乗した男の子がこの自転車にさっそうと乗って、家路を急いで去っていきました。
「台風被害さえなければ彼らは鉄道一本で富良野の高校に通っていたのかしら」と思いをはせてしまいます。
落合駅を過ぎると新得駅までの28km、駅はありません。
狩勝峠が鎮座し、山越えとなります。
根室本線はその昔、この峠をのぼる路線だったそう。
その当時の車窓は日本三大車窓に数えられるものだったとか。
新しく引き直された根室本線は狩勝峠をトンネルで貫通して新得へ抜けるので、この美しい車窓は見れなくなっていたのですが、代行バスになったおかげで幸か不幸か再び狩勝峠から望む十勝平野の絶景車窓が復活しました。
新得へ向かう代行バスなら、右側。富良野への代行バスなら、左側に見えますよ。
狩勝峠を越え、駅じゃないけど、おまけのサホロリゾートに寄ってバスはどんどん下っていきます。
新得町へ入るとソバ畑が広がりだします。新得は蕎麦の産地ですからね。
新得駅(2時間16分)
定刻より少し早くに新得駅に到着。
バス停には同時刻に富良野方面へ向かう代行バスがスタンバってます。
富良野ー新得に乗るだけが目的であれば、間髪入れずにこのバスに乗り込んで帰ることもできるようです。
ネットの乗継検索では乗継時間が短すぎて出てこないのですが、再度乗車したときにも停まっていたので、定刻で新得に到着すれば普段から乗り継げるダイヤになっているようです。
私はというと、せっかく遠路はるばる新得まで来たので(札幌から特急に乗れば2時間ですが)、名物のそばを食べてから帰ることにしました。
と言っても、まだ16:30。夕飯には早すぎるので、ふらふらお散歩をして時間をつぶします。
でも、夕方の新得。何にもありません。無駄に公園まで歩いて行って、帰ってきて腹ごなし。
17:30になったので、駅前のお蕎麦屋さんへご~。
そば処 せきぐち
カシワ蕎麦にしました。おそばに蕎麦の実入りおにぎり、天ぷらもついて贅沢です。
おそばは太めで、しっかりした嚙みごたえ。そばらしい風味がふわっと抜けます。天ぷらもサクサク。美味しい夕飯でお腹いっぱいです。
お蕎麦屋さんを出てから、まだ30分ほど富良野へ戻る代行バスはやってきません。
とはいえ、新得駅は札幌から帯広・釧路を結ぶ幹線上にある駅なので、特急や普通列車がちょくちょくやってきます。
駅の横から線路を眺めて行き来する鉄道を眺めたり、暮れる空を眺めたりしていると代行バスがロータリーに入ってきたので、乗り込みます。
運転手さんは新得へ来るときの方と同じでした。そしたら、顔を覚えられていましたw
「あれ?戻るの?」と声をかけられました。
普通の旅行者は富良野から新得へ抜けたあと、帯広方面へ向かうらしく、数時間だけ新得で過ごして、富良野へ戻る人間はレアのようです。
新得駅→東鹿越駅→富良野駅(1時間57分)
私と男性客一人だけを乗せた大型の観光バスは出発。
すっかり暮れてしまった狩勝峠を越え、だれも乗り降りしない駅に立ち寄ります。
東鹿越駅(11分)
あっという間に東鹿越駅に到着。
そして、間もなく乗り換えの気動車がやってきます。
使われることのほとんどない待合室の明かり。
続いているのに走れない線路。
どんどん利用客が減少し、便数が減るダイヤ。
たった1両という短い編成なのに乗客は私ともう一人だけで、ゆとりしかない車内。
周辺自治体とJR北海道との間で廃線協議が進められているそうで、新得までの線路が復旧されるどころか、富良野から東鹿越までの鉄路さえ消えそうになっている今。
きっともうこの路線に乗ることはないだろうと思うとしんみりしてしまうもの。
暗闇を走る気動車の車窓からは何も見えません。
富良野泊
うなるエンジン音と開けた窓の隙間から吹き込む風の音をぼんやり聞きながら、富良野に到着。
宿泊地の富良野へ戻ってきたのは21時近く。
有人駅の富良野駅ですが、この時間には駅員さんが帰ってしまうらしい。ワンマン列車らしく改札は運転士さんに切符を見せて下車。
1日目の廃線間近の鉄路に乗る旅はおしまい。
宿に行ってゆっくり休みます。おやすみなさい。